「フェイクと憎悪」永田浩三編著
今、ネットや書店に、他者を傷つけることが主眼の憎悪があふれている。官邸がリークしたが産経新聞が掲載を見送った、前川喜平前文科省事務次官の出会い系バー問題を、読売新聞が記事にした。マスコミの政権との癒着を疑われてもしかたがない事例だ。
書店の棚には「嫌中」「嫌韓」本が並ぶ。出版不況下で出版社が「売れるコンテンツ」として嫌韓本やネット右翼系のヘイト記事に飛びついたという。保守論壇は劣化し、安倍政権に批判的な論客は姿を消して、安倍の応援団的な者が重用されている。ジュンク堂書店の店長は、ヘイト本があふれているという現実を可視化するためにあえて棚に並べている。
ジャーナリストや研究者がマスコミの危機に警鐘を鳴らす一冊。
(大月書店 1800円+税)