「すごい葬式」小向敦子著

公開日: 更新日:

 死ぬ前にボケをかまそう――と、「老年学」「笑い学」の気鋭学者が、死に臨んでの笑いを考察した書だ。

 江戸時代の芝居作家・4代目鶴屋南北は自分の葬儀に、喜劇仕立てにした芝居の台本を用意した。1989年、イギリスのコメディアン、グレアム・チャップマンの追悼式典では、仲間が「本人から放送自粛用語『F※※k』を口にしてくれと頼まれた」と、その言葉を発し、笑いに包まれた。2011年に没した立川談志は「雲黒斎家元勝手居士(うんこくさいいえもとかってこじ)」という戒名を生前、自分で付けていた。そうした古今東西の面白い事例と、老化現象を自虐ネタにする、楽しい生前葬を開くなど、凡人も真似られそうなヒントが満載。シニア期に達したら、死をユーモアで飾る助走態勢に入っていこうと誘われる。

 (朝日新聞出版 760円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動