「医師が教える最強のダイエット」ジェラルド・E・マリン著 浦谷計子訳

公開日: 更新日:

 アメリカの名門ジョンズ・ホプキンス大学医学部の現役医師が推奨する肥満解消法の鍵は、「腸内フローラ」だ。人間の腸内には、花畑のように多種多様な細菌が分布している。しかし、そのバランスが悪玉菌に偏ると、体全体に軽度だが慢性的な炎症を引き起こし、体に脂肪を蓄積させることが分かってきたのだ。

 全身の炎症は、悪玉菌の作る毒素が腸粘膜から漏れ出し、血流に乗ることで生じる。すると、炎症性サイトカインという物質がインスリンの効きを悪くし、摂取したカロリーをエネルギーに変換しにくくして脂肪を増やす。また、脳の視床下部に炎症が起きると、食欲調節ホルモンであるレプチンの効果が薄れ、過食してしまう。これらの悪循環で、肥満が加速するわけだ。

 しかし、腸内環境を改善して腸内フローラのバランスを整えてやれば、全身の炎症も改善され、肥満の解消につながる。本書で紹介する肥満解消法では、3つのステップで腸内フローラの改善にアプローチしていく。

 まずフェーズ1では、悪玉菌を増やす白米やパンなどの精製炭水化物や炎症を誘発する脂質の摂取を制限して腸内環境をリセットしていく。きついと感じるかもしれないが、期間は30日と決まっているので耐えられそうだ。フェーズ2では腸内フローラのバランス回復のため、ヨーグルトやキムチなどの発酵食品で生きた善玉菌を送り込み、ベリー類や豆類などプレバイオティクスと呼ばれる善玉菌の栄養となる食品を取る。そしてフェーズ3では、善玉菌の維持を目指して地中海食などの食事法を身に付けていくのだ。

 生活習慣病の改善にも役立つ腸内フローラの改善。さっそく試してみては。

(シャスタインターナショナル 1700円+税)

【連載】長生きする読書術

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  2. 2

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  3. 3

    箱根駅伝は「勝者のノウハウ」のある我々が勝つ!出雲の7位から良い流れが作れています

  4. 4

    女子プロレス転向フワちゃんいきなり正念場か…関係者が懸念するタレント時代からの“負の行状”

  5. 5

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  1. 6

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  2. 7

    我が専大松戸は来春センバツへ…「入念な準備」が結果的に“横浜撃破”に繋がった

  3. 8

    学歴詐称問題の伊東市長より“東洋大生らしい”フワちゃんの意外な一面…ちゃんと卒業、3カ国語ペラペラ

  4. 9

    村上宗隆、岡本和真、今井達也のお値段は?米スカウト&専門家が下すガチ評価

  5. 10

    自死した元兵庫県議の妻がN党・立花孝志党首を「名誉毀損」の疑いで刑事告訴…今後予想される厳しい捜査の行方