著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「ウェディングプランナー」五十嵐貴久著

公開日: 更新日:

 ウエディングプランナーの仕事とは、「結婚するカップル、主に新婦のリクエストを聞き、結婚式や披露宴のプランを立案し、それに基づいて関係する各部署の調整を担当する」ことだと本書にある。

 結婚式は新婦のためにあるという常識が根づいたのは80年代の中ごろで、必然的にウエディングプランナーも女性が多いという。新婦、つまり女性の気持ちは女性のほうがわかるだろうということだ。

 本書の主人公・草野こよりは、ベストウェディング社のウェディングプランナー課に所属する29歳だが、そのウェディングプランナー課も10人中8人が女性。というわけで、本書ではウエディング業界の裏側が克明に描かれていく。

 結婚が近づいてくるとマリッジブルーになる女性もいて、そういう彼女たちを励ますのもウエディングプランナーの仕事であり、そういうふうに密接で濃厚なつながりを持つので、結婚式が終わってからも親しい友人になるケースは少なくないようだ。

 本書の問題は、自身の結婚が3カ月後に迫ってきた主人公のこよりが、マリッジブルーになってしまうこと。そこに、フランスに修業に行っていた元カレのシェフが帰国してきて再会するから、ややこしい。仕事もしなければならないし、しかし、心は揺れ動くし、「さあ、こより、どうするんだ」と読んでいるこちらも気が気でない。ヒロインが無事に幸せに着地するのかどうかは読んでのお楽しみ。 (祥伝社 1600円+税)

【連載】北上次郎のこれが面白極上本だ!

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希にリリーバーとしての“重大欠陥”…大谷とは真逆の「自己チューぶり」が焦点に

  3. 3

    日本ハム最年長レジェンド宮西尚生も“完オチ”…ますます破壊力増す「新庄のDM」

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    初の黒人力士だった戦闘竜さんは難病で入院中…「治療で毎月30万円。助けてください」

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    ドジャース佐々木朗希もようやく危機感…ロッテ時代の逃げ癖、図々しさは通用しないと身に染みた?

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が“本塁打王を捨てた”本当の理由...トップに2本差でも欠場のまさか

  4. 9

    “条件”以上にFA選手の心を動かす日本ハムの「圧倒的プレゼン力」 福谷浩司を獲得で3年連続FA補強成功

  5. 10

    吉沢亮は業界人の評判はいいが…足りないものは何か?