最新ユニーク!名画本

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「♯名画で学ぶ主婦業」田中久美子監修

 お行儀よく絵の鑑賞をするのもいいけれど、たまには変わったアングルから名画を眺めてみてはいかが。今回は、ツイッター発の名画を楽しむ本、よく見たらへんなところだらけの絵画本、絵画が教えてくれる視覚の秘密本、有名な絵に隠された裏話本など5冊をご紹介!

 誰もが知る名画に一言添えると、主婦の日常に見えてくる――。そんな発見をした人が「名画で学ぶ主婦業」というハッシュタグをつけてツイッターに投稿したら、爆発的に拡散され大喜利状態になった現象をご存じだろうか。本書は、そんなツイッター上に集まった秀逸な投稿を、絵画の解説とともに紹介した名画本だ。

 たとえば、ハムレットの一場面を描いた「オフィーリア」の絵では、「皆が入り終わった残り少ない湯で全身を温めることを決意」というつぶやきによって、小川に浮かぶ美女が浴槽につかる主婦に変身。放心しているかのような「懺悔する聖マグダラのマリア」の絵は、「何しに2階に来たんだっけ」の一言で物忘れする主婦の肖像画になっていく。名画を日常に寄せてしまう、その強引な手腕を楽しみたい。

 (宝島社 1200円+税)

「へんな西洋絵画」山田五郎著

 わざと下手さやゆるさを狙って描いた「ヘタウマ」というジャンルがあるが、西洋絵画の中には真剣に描いたのに微妙におかしなことになっているものが少なくない。本書は、そんな「へん」な味を持っている絵画ばかりを集めた西洋絵画集。かわいいはずの子どもが三白眼で不敵にほほ笑んでいたり、架空の動物が堂々と描かれていたりと、細部を取り出してみれば、おかしな共通項がたくさん見つかる。

 特にネタの宝庫なのは、アンリ・ルソーとセザンヌのふたり。足をうまく描けず人物が宙に浮いてしまうのに困ったルソーが人物の足元に草花を描いていたことや、模写ができないセザンヌの微妙な人物の顔なども紹介。写真が発明されて写実が意味を失った時代に、ふたりが脚光を浴びた後世のパラドックスが面白い。

 (講談社 1900円+税)

「日本画の歴史 近代篇」草薙奈津子著

 大和絵や狩野派、浮世絵など日本伝統の絵画が「日本画」と呼ばれるようになったのは明治10~20年の頃。それは開国によって入ってきた西洋画との出合いによって生まれた新ジャンルでもあった。

 1878年、政府お雇い外国人フェノロサが来日し、彼の指導のもと日本画革新運動が始まる。これまでの伝統技法を用いながらも西洋画=写実的表現、3次元的表現に心血を注いで取り組み、思想を受け継いだ岡倉天心、橋本雅邦らが東京美術学校を新設。やがて横山大観、速水御舟といった近代日本画の巨匠たちが次々と登場する。

 本書では、河鍋暁斎の「極楽行きの汽車」、月岡芳年の「奥州安達ケ原ひとつ家の図」、横山大観の「夜桜」など多数のカラー図版と共に技法や歴史を紹介。

 国家主導で作品が制作された明治期、のびやかな画風の大正期までの変遷を描き出す。

 (中央公論新社 920円+税)

「怖いへんないきものの絵」中野京子、早川いくを著

 2大ベストセラーである「怖い絵」の著者・中野京子氏と、「へんないきもの」の著者・早川いくを氏とのコラボ。

 ロンドン市長だったブルック・ワトソンが少年の頃、船乗りだった時にサメに襲撃され、右足を失った出来事を描かせた絵画がまずやり玉に。襲われたワトソン少年がなぜ素っ裸なのかという早川氏の疑問に、中野氏は「当時の歴史画にはヌードを入れるというのが暗黙の了解。へろへろの漂流者を描いても訴えない。シュワちゃんばりに筋肉隆々でないといけないんです」と答える。

 他に、聖なる宗教画「聖母子」にハエを描き込む意図、マックスの「美術鑑定家としての猿たち」などの西洋名画に猿が怖く描かれているのはなぜか、など16枚の不思議でおかしい名画の謎に迫る。

 (幻冬舎 1500円+税)

「視覚心理学が明かす名画の秘密」三浦佳世著

 人けのない街中を車輪を回しながら左から右へと駆けていく少女を描いたジョルジョ・デ・キリコの「街の神秘と憂鬱」という絵。多くの風景画では、建物などの輪郭線が1点に向かって収斂されるように描かれるが、キリコの代表作ともいわれるこの作品では、建物の端も道路の路肩も勝手な方向に伸び、現実にはありえないものとなっている。

 ところが、人はその差異に気づくことができず、ただ「変な感じ」という印象だけが残るらしい。これは、人が一度に全体を把握できるほど視野が広くなく、左右の目に映る映像も異なっているためらしい。

 このように、名画を視覚心理学の視点から分析したのがこの本。構図、光、色など、画家と視覚研究者は、創作や研究を通して共通の発見をしているという著者の指摘も興味深い。 

 (岩波書店 2500円+税)

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