北上次郎
著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「血の郷愁」 ダリオ・コッレンティ著 安野亜矢子訳

公開日: 更新日:

 イタリア・ミステリーである。残忍な手口の殺人が発生し、それを追いかける新聞記者たちの物語だ。ふくらはぎを噛みちぎり、内臓を抜き、死体のそばに針を置く、その残忍な手口は、イタリア犯罪史に名を残す19世紀の連続殺人犯の手口そっくり。いったい犯人は何者なのか、というわけでミステリーの幕が開く。

 主人公は2人、まず定年間近のマルコ・ベザーナ。社会部のベテラン記者だ。仕事一筋で規律を乱すので社内には敵も多い。この手のタイプにはよくあるが、家庭を顧みないので妻子には逃げられて1人暮らし。ただし、この男、モテモテで、しかも断ることを知らないから私生活はめちゃめちゃだ。

 対するは、イラリア・ピアッティ。こちらは社会部に配属されたインターンで(編集局で雇われることなんてないんだって誰か言ってやれよ、と囁かれている)、変わり者。おそろしくセンスの悪い丸眼鏡と服装で、しかも足元は漁師用のゴム長靴。それで平然としているから、すごい。しかしこのヒロイン、知識もあって観察力も鋭く、つまりおそろしく仕事ができる。

 この2人がコンビを組んで犯人を追いかける新聞記者小説だが、あっという間に読み終えるのは、知識豊富なイラリアが随所で披露する「歴史講座」が楽しいからでもある。もしも日本でテレビドラマ化するなら、主演は吉田鋼太郎と高畑充希だ!

(ハーパーコリンズ・ジャパン 1194円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    悪徳マルチ元会長逮捕で安倍前首相が国会で“球拾い”する日

  2. 2

    岡部大がブレークか 代役MCにドラマ出演、CMも隠れた人気

  3. 3

    菅内閣“ご祝儀報道”の裏で着々…真の肝入りは法務と警察

  4. 4

    「集団就職」の真偽を問いただすと口調が興奮気味に一変

  5. 5

    優香に女優復帰待望論 衰えぬ美貌で深キョンもタジタジ?

  6. 6

    宝くじ億万長者の2人…同じ数字の組み合わせを20年間継続

  7. 7

    <前>菅首相も舌を巻く…自分ファースト小池知事の粛清人事

  8. 8

    阪神には行きたくない 糸井2世も敬遠する球団の構造的欠陥

  9. 9

    “お騒がせ女王” 華原朋美「事務所クビ」の真相と問題行動

  10. 10

    「エール」音の妹と裕一の弟子が急接近…「露営の歌」秘話

もっと見る