「密室を開ける手」藤本ひとみ著
高2の上杉和典は祖父の葬儀の日、クリーニング屋に父の洗濯物を受け取りに行った。店員に、シャツにもズボンにもかなりの血痕があったのでしみ抜きをしたと言われ、ズボンのポケットに入っていたと、長崎行きの航空券を渡された。長崎には祖父の実家があるが、母は「長崎にいるのよ、パパの女」と冷ややかに言う。
祖父は2年ほど前から入院していたのだが、父が長崎に行き始めたのはそのころからだった。和典が祖母にいろいろ尋ねていると、祖母は祖父の日記を渡し、気になっていることがあるので、自分の代わりに読んでほしいと言う。その日記はページが1枚切り取られていた。
医大志望の少年が亡き祖父の心の闇に迫るミステリー。
(講談社 1400円+税)