「ただの眠りを」ローレンス・オズボーン著 田口俊樹訳
1984年、メキシコで隠居生活を楽しんでいた72歳のマーロウを保険会社の社員が訪ねてくる。キャルブと名乗った男は、マーロウにメキシコの辺鄙な村で溺死したアメリカ人・ジンの死について調べて欲しいという。多額の保険金が掛けられたジンの契約に不審はなく、メキシコ側の書類にも問題はなかったが、保険会社はジンの死に疑問を抱いているようだ。
不動産業者のジンは多額の借金を抱えていた。依頼を受けたマーロウは、保険金の受取人のジンの若妻・ロドレスに会いに出かける。さらに生前のジンの足取りを追うマーロウは、海岸で彼の死体を最初に見つけた男にたどりつき、意外な話を聞きだす。
老境のマーロウを描き、亡きチャンドラーに捧げられた異色作。
(早川書房 1700円+税)