「布のちから」田中優子著

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 江戸学者の著者による布をテーマにした論考集。

 インドの独立運動を率いたガンディーは、労働者が着るさらし木綿のドーティ(ズボンとして使う布)とクルタ(上着)を身につけた。そして自ら手紡ぎ車で糸を紡ぎ、布を織る運動を推進。かつて世界一細い綿糸を紡いでいたインドは、産業革命によって誰も糸車を回さなくなり、技術も失われていた。運動は、英国製品のボイコット、自国生産によるインド復興への道筋をつけた。

 こうした運動から、布は思想と生き方そのものであり、それを広く伝えるメディアとしても機能することを読み解いていく。その他、春画に描かれた腰巻きやインドネシアのスンバ島の絣(かすり)など、アジア文化の中で布がどのように作られ、流通し、愛用されてきたかを論じる。

(朝日新聞出版 810円+税)

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