「布のちから」田中優子著

公開日: 更新日:

 江戸学者の著者による布をテーマにした論考集。

 インドの独立運動を率いたガンディーは、労働者が着るさらし木綿のドーティ(ズボンとして使う布)とクルタ(上着)を身につけた。そして自ら手紡ぎ車で糸を紡ぎ、布を織る運動を推進。かつて世界一細い綿糸を紡いでいたインドは、産業革命によって誰も糸車を回さなくなり、技術も失われていた。運動は、英国製品のボイコット、自国生産によるインド復興への道筋をつけた。

 こうした運動から、布は思想と生き方そのものであり、それを広く伝えるメディアとしても機能することを読み解いていく。その他、春画に描かれた腰巻きやインドネシアのスンバ島の絣(かすり)など、アジア文化の中で布がどのように作られ、流通し、愛用されてきたかを論じる。

(朝日新聞出版 810円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態