「国立公園を旅する」日本国際放送/企画 NHK出版/編集 環境省/協力

公開日: 更新日:

 日本の自然の最大の特色はその多様性にある。4つのプレートの合わせ目に位置することによって、さまざまな地質・地形や山容と、植生も動物相も異なる多様性に満ちた自然が生まれた。そんな列島の美しい自然の中でも、特に優れた風景や生態系を有する地域が国立公園に指定されている。全国に34ある国立公園を「世界水準のナショナルパーク」とするため、環境省は「国立公園満喫プロジェクト」を推進。

 本書は、その先進事例として整備が進む8公園を中心に、国立公園の魅力を伝えるガイドブック。

 その一つ、「大山隠岐国立公園」は、鳥取・島根・岡山の3県にまたがる。大山を含む山岳地帯および三徳山一帯、島根半島の海岸部分、三瓶山一帯、隠岐諸島からなる4つの地域で構成され、変化に富んだ景観が特徴だ。

 古くから山岳信仰の対象とされてきた霊山の大山をはじめ、巨木や巨岩、滝などをご神体にした自然信仰の形を今に伝える隠岐諸島、そして日本の神話の舞台で、出雲大社がある島根半島と、同国立公園は神々と深い絆で結ばれた地域でもある。

 地域に根付く文化や風習、そしてその歴史なども紹介しながら、域内の見どころやグルメまで取り上げる。

 東北の「十和田八幡平国立公園」は、火山と湖と渓流の公園。穏やかな十和田湖に清らかな奥入瀬渓流、そして複数の火山が連なる八甲田山系などからなる「十和田八甲田地域」と、日本有数の火山地形で湖沼や湿原、温泉地が点在する「八幡平地域」で構成される。

 他にも北は自然の神秘とアイヌ文化に触れられる「阿寒摩周国立公園」から、南はケラマブルーと呼ばれる美しい海を擁した「慶良間諸島国立公園」まで。夏休みや秋の行楽のお出かけ先探しの参考になるお薦め本。

(NHK出版 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の三振激減がドジャース打者陣の意識も変える…史上初ワールドシリーズ連覇の好材料に

  2. 2

    国民民主党から問題議員が続出する根源…かつての維新をしのぐ“不祥事のデパート”に

  3. 3

    党勢拡大の参政党「スタッフ募集」に高い壁…供給源のはずの自民落選議員秘書も「やりたくない」と避けるワケ

  4. 4

    「ロケ中、お尻ナデナデは当たり前」…「アメトーーク!」の過去回で明かされたセクハラの現場

  5. 5

    注目の投手3人…健大高崎158km石垣、山梨学院194cm菰田陽生、沖縄尚学・末吉良丞の“ガチ評価”は?

  1. 6

    夏の甲子園V候補はなぜ早々と散ったのか...1年通じた過密日程 識者は「春季大会廃止」に言及

  2. 7

    コカ・コーラ自販機事業に立ちはだかる前途多難…巨額減損処理で赤字転落

  3. 8

    巨人・坂本勇人に迫る「引退」の足音…“外様”の田中将大は起死回生、来季へ延命か

  4. 9

    高市早苗氏の“戦意”を打ち砕く…多くの国民からの「石破辞めるな」と自民党内にそびえる「3つの壁」

  5. 10

    「U18代表に選ぶべきか、否か」…甲子園大会の裏で最後までモメた“あの投手”の処遇