「アマゾン化する未来」ブライアン・デュメイン著 小林啓倫訳

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 巨大IT企業アマゾンに関する解説書は数多く出版されてきたが、本書はアマゾンを「ビジネスをどう実行すべきかに関する21世紀のモデルを世界に示すもの」とまで言い切っている。そして、コロナ禍で独り勝ちするアマゾンの内実に迫りながら、多くの企業がアマゾン化を目指す未来を浮き彫りにしている。

 新型コロナウイルスの影響を受け、グーグルですらマーケティング予算の50%削減を含む経営計画の大幅な見直しと、採用の抑制を発表している。

 一方、アマゾンはコロナ禍の数週間で、17万5000人の従業員を追加採用。2020年度第2四半期の決算報告では、四半期利益が52億ドル(約5500億円)に達したと発表している。

 アマゾンではすでに、従来は管理職が行っていた採用や小売りに関する意思決定の多くをAIアルゴリズムに譲っている。アマゾンの成功の秘訣について、本書ではキーワードに「AIフライホイール」を挙げている。フライホイールとは「弾み車」を指す機械部品で、企業内のある活動が別の活動を推進する力となり、次の活動が別の活動を推進して加速するという理想的な状態を弾み車に例えている。

 実際、同社では顧客から得たデータとAIを活用することで業務を効率化・高度化し、さらにそれが生み出す価値でより多くの顧客を引き受け、そこからさらにデータを得るというAIフライホイールをエンジンとして成長を続けている。そして創業者ジェフ・ベゾスの名前を取って「ベゾノミクス」と呼ばれるビジネスの在り方は、世界各国で有力な企業が採用するようになっていると本書は指摘する。

 ウィズコロナの世界で新たなビジネスを築くためのヒントを読み解きたい。

(ダイヤモンド社 1800円+税)

【連載】コロナ本ならこれを読め!

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