「絶対にかかりたくない人のためのウイルス入門」ベン・マルティノガ著 水谷淳訳

公開日: 更新日:

 私たちの生活を大きく変えた新型コロナウイルス感染症。この恐ろしい敵と闘い、打ち勝つためには、正体を正しく知ることが不可欠だ。本書では、そもそもウイルスとは何なのか、どのような対策が有効なのかなどウイルスのイロハをイラストを駆使して解説している。

 新型コロナウイルスの大きさは100ナノメートル。ノミの1万5000分の1というちっぽけな存在だ。

 しかし、ひとたび私たちの体内に入り込み細胞に取りつくと、恐ろしい効率で自身を複製していく。新型コロナウイルスにはまだ分からないことも多いが、近縁の別のコロナウイルスの場合、1個の細胞に感染すると1000個ものウイルスを複製することが分かっている。1個の細胞がウイルスに感染しただけで、1000個の細胞を感染させる準備が整うということだ。

 潜伏期間は5~14日とされるが、感染者は症状が出るおよそ2日前からウイルスを外部にまき散らしてしまうことになる。2019年11月17日、中国で世界初の新型コロナウイルス感染者が1人発見され、2020年4月2日には世界中で感染者が100万人を超えた。1が100万になるまでにわずか19週。この感染速度を私たちはいま一度肝に銘じ、人との接触を考え直す必要がある。

 感染予防に手洗いが不可欠であることは周知の事実だが、これは手からウイルスを引きはがしてくれるだけでなく、石鹸(せっけん)の分子がウイルスの外殻を構成する脂質を溶かし、壊してしまうためだ。つまり、除菌スプレーや抗菌シートよりも、石鹸による手洗いが間違いなく有効だと本書。

 ほかにも、ウイルス発生の起源やワクチンの働きなど、今こそ得るべき知識が満載だ。

(ダイヤモンド社 1500円+税)

【連載】コロナ本ならこれを読め!

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性