「悲劇の世界遺産」井出明著

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 世界遺産制度の趣旨は、人類にとっての「顕著な普遍的価値」を次世代に引き継ぐことであるから、戦争や災害などの「悲劇の記憶」もその対象となり、その数は相当数にのぼる。そうした「悲劇の記憶を巡る旅」=ダークツーリズムの視点から、世界遺産を訪ね思索を深めるための案内書。

 ダークツーリズムは、被災地を旅することと誤解されがちだが、その目的は「悲劇の記憶を共有し、継承した上で、教訓化する」ことにある。世界遺産やダークツーリズムについての基礎的な考え方を解説した上で、多層的な問題意識を訪問者になげかける「アウシュビッツ」をはじめ、「軍艦島」などが含まれる「明治日本の産業革命遺産」などを実際に巡りながら、どのように向き合うべきかを論じる。

(文藝春秋 1210円)

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