「うらんぼんの夜」川瀬七緒著

公開日: 更新日:

 大百舌村で暮らしている遠山奈穂は、空き家に引っ越してきた北方亜矢子と親しくなった。都会者を警戒する村人は夜中に、亜矢子の家に食べきれないほどの野菜をこっそり置いていって、誰にお礼を言えばいいのかわからない北方家の人を「礼儀がなっていない」と吹聴して歩く。

 村には、年寄りの信仰があつい、風化して凹凸もなくなった地蔵があった。ある日、奈穂は、村の者以外は近づいてはいけないとされている地蔵の顔に亜矢子が触れるのを見てしまう。盂蘭(うら)盆会の日、奈穂の家で数珠まわし念仏が始まったとき、奈穂はうっかり、亜矢子が地蔵参りをしたことを口にする。

 因習にとらわれた村で起きた事件を描くミステリー。

(朝日新聞出版 1760円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動