「首の鎖」宮西真冬著

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 瞳子は家業の洋食屋の手伝いの傍ら、脳梗塞で半身不随になった母の介護に追われる。姑に似た瞳子を幼い頃から疎んじてきた母だが、瞳子以外の人間に自分の世話をさせようとしない。それをいいことに、父も兄夫婦も手伝おうともしない。

 中学生の頃から店の手伝いや祖母の介護を担ってきた瞳子は、39歳で初めて男とホテルに入った。相手は店の常連で小学校の担任だった神田だ。神田は逢瀬(おうせ)のたびに、家族に便利に使われる瞳子に同情を寄せるが、瞳子の心は満たされない。そんな中、瞳子は通院中の心療内科で丹羽と知り合う。次第に丹羽と心を通わせる瞳子だが、ある夜、彼から「妻を殺してしまった」と電話が入る。

 家族に縛られてきた2人が共犯者の関係になっていくサスペンス。

(講談社 682円)

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