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「知能化戦争」龐宏亮著 上野正弥ほか訳

 米国のアフガン政策の「失敗」で対中・対ロ情勢はますます厳しさを増しつつある。



 いまや世界一の軍事大国になろうと野心をみなぎらせる中国。巡航ミサイルや中距離弾道ミサイルの数では米国をしのぐとすらいわれる。しかし中国国防大学で教壇に立つ著者は「知的兵器」による戦争が、これからの未来だという。

 人工知能(AI)を搭載した無人軍用機の開発は世界各国でおこなわれているが、中国は「まさに爆発的な進化」だという。フランスが可能にした自律編隊飛行だけでなく、大型の中低空長距離多目的無人機「彩虹5」は250キロのミサイルを搭載し、既に5年前に初飛行を完了している。さらに次世代の大型ステルス無人戦闘機「利剣」の開発も急ピッチで、同機は米仏英のライバル機にひけをとらないと豪語する。同様に無人の潜水艇や多機能のロボット車両の開発も進んでいる。

 こうしたAI兵器の開発と導入は単なる効率化だけでなく、戦争という「ゲームのルール」を変え、軍隊組織そのものを再構築する可能性を持っている。昔ながらの大規模でピラミッド型の軍隊は現代の対テロ戦争やサイバー攻撃に対処しきれない。全体を通して冷静で客観的な文章がまるで他人事のようにも見える。その落ち着きぶりこそ中国の密かな自信と野心の表れだろう。

(五月書房新社 3850円)

「現代ロシアの軍事戦略」小泉悠著

 冷戦終結以来、ガクンと存在感が落ちたかのようなロシア。

 しかし、東大の特任助教の書いた本書を読むと認識が変わる。確かに現在のロシアは「数」の点では軍事大国とはいえない。米国はもちろん中国にも劣る。しかし「質」の面から見ると事態は変わる。

 たとえば偵察や監視だけでなく自爆攻撃にも駆使されるドローンの国産化・量産化や敵の電子機器を無効化する電磁波スペクトラムの撹乱作戦能力、そしてアメリカ大統領選まで左右したといわれるサイバー攻撃能力など、新しい次元でのロシアの軍事能力は高い。

 国家同士が強大な直接戦闘力を衝突させる「古い戦争」ではなく、ロシアはいまや多様な主体と方法を混在させる「ハイブリッドな戦争」を戦っているのだと指摘している。

(筑摩書房 1034円)

「自衛隊最高幹部が語る令和の国防」岩田清文ほか著

 中ロをめぐる安全保障といえば日本こそ、その最前線。本書は安倍内閣時代の内閣官房副長官補を司会に、陸海空の元自衛隊幹部が口々に語った対中戦略だ。

 習近平がリーダーになって「中華民族の偉大な復興」を公然と口にする現代中国は、西太平洋で毎年10回以上も海空軍の演習を繰り返し、米国との対決姿勢を鮮明にしている。3者とも米国との協力を強調する一方、中国を不必要に刺激せず存在感を示す工夫に苦慮しているのがわかる。

 他方、ロシアについては「敵にしない戦略」が必要という。対中・対北朝鮮という2正面を3正面にしない賢明さがいるのだ。

 日本の国防従事者は中ロの格差を明らかとみているわけだ。

(新潮社 902円)

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