「ゴリラの森、言葉の海」山極寿一、小川洋子著

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 長年、アフリカの熱帯雨林で野生のゴリラを研究してきた霊長類学者と人気小説家の対談集。

 山極氏は、ゴリラは人間の模範であるとともに、人間の本当の姿を映し出す、「人間の鏡」だという。26年ぶりに再会したマウンテンゴリラの「タイタス」が見せた意外な行動や、群れを離れて1匹で行動するオスのゴリラが歌うハミング、フクロウの子どもなどの自分よりも小さな動物と遊んだり、ペットのネコを飼うゴリラなど、驚くべき生態が次々と紹介される。小川氏は、ハミングするゴリラのエピソードに孤独をかみしめるのは人間だけの特権ではないと彼らの物語を見いだす。

 他にもゴリラの話題を足掛かりに、約束という未来の共有や父性の役割、死の概念、そして暴力の意味など縦横に展開する対話に好奇心が刺激される。

(新潮社 649円)

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