「きりきり舞いのさようなら」諸田玲子著

公開日: 更新日:

 人気戯作者十返舎一九の娘・舞はある朝、普段と違う雰囲気を感じた。普段なら二日酔いで寝過ごしている継母・えつが早朝から朝餉(あさげ)の支度をし、筆が乗らずに怒鳴り散らすのが常の一九が朝から仕事をしていたからだ。

 舞は、めったにない状況に不吉な予感がしたのだが、程なくして予感が的中。近場から火が出て、一九、えつ、舞の亭主の尚武、養子の丈吉、葛飾北斎の娘で居候のお栄ともども焼け出されてしまったのだ。逃げる途中で捨てられた老婆まで拾う羽目になり、増上寺境内のお救い小屋に身を寄せたものの、長居をするわけにもいかず、とりあえず北斎先生の借家に転がり込んだ。勝手気ままに振る舞う家族に翻弄されながら、なんとか生活を立て直そうと舞は奮闘するのだが……。

 一九の気丈な娘・舞が、一九の周囲に集まる人々に頼られながらなんとか切り盛りする人気の「きりきり舞い」シリーズ最新刊。今回も幽霊騒ぎや盗難騒ぎが起こったり、香典目当てに十返舎一九の野辺送りをすることになったりと一筋縄でいかない事件がてんこ盛り。個性的な登場人物の軽妙なやりとりも楽しい。

(光文社 1760円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 2

    川口春奈「食べ方が汚い」問題再燃のお気の毒…直近の動画では少しはマシに?

  3. 3

    あの人「なんか怖い」を回避する柔らかな言葉遣い

  4. 4

    自分探しで“変身”遂げたマリエに報道陣「誰だかわからない」

  5. 5

    (1)高齢者の転倒は要介護のきっかけになりやすい

  1. 6

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 7

    「誰が殺されてもおかしくない」ICE射殺事件への抗議デモ全米で勃発

  3. 8

    解散総選挙“前哨戦”で自民に暗雲…前橋出直し市長選で支援候補が前職小川晶氏に「ゼロ打ち」大敗の衝撃

  4. 9

    業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

  5. 10

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網