「科学と人生」中谷宇吉郎著

公開日: 更新日:

 寺田寅彦の弟子で、雪氷の研究者だった物理学者の著者が戦中から終戦直後の時代につづった名エッセー集の復刊。

 表題作では、国を担うべき若者に向け、科学を学ぶ意味を説く。科学とは、一口に言うと「自然界にある法則とものの本体とを知る学問」であり、科学を学ぶとは、科学上の知識とともに、科学的なものの考え方を得ることだと定義。その上で、どんな職業に就いている人にも役に立つ科学的な考えの進め方を説いていく。

 ほかにも昭和11年、行幸した昭和天皇を迎えての北海道大学での雪の結晶の人工製作の天覧や、師である寺田研究室での思い出、さらには肝臓ジストマ闘病記など。人生の軌跡を振り返りながら自らも実践してきた「科学的なものの考え方」の大切さをつづる。

(KADOKAWA 880円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党・神谷宗幣代表が街頭演説でブチまけた激ヤバ「治安維持法」肯定論

  2. 2

    「自公過半数割れ」後の大政局…反石破勢力は「高市早苗首班」で参政党との連立も

  3. 3

    元小結・臥牙丸さんは5年前に引退しすっかりスリムに…故国ジョージアにタイヤを輸出する事業を始めていた

  4. 4

    自民旧安倍派「歩くヘイト」杉田水脈氏は参院選落選危機…なりふり構わぬ超ドブ板選挙を展開中

  5. 5

    「時代に挑んだ男」加納典明(25)中学2年で初体験、行為を終えて感じたのは腹立ちと嫌悪だった

  1. 6

    トップ清水賢治社長に代わったフジテレビの“アニメ推し”が目に余る

  2. 7

    参院選和歌山「二階vs世耕」は血みどろの全面戦争に…“ステルス支援”が一転、本人登場で対立激化

  3. 8

    参政党が消せない“黒歴史”…党員がコメ農家の敵「ジャンボタニシ」拡散、農水省に一喝された過去

  4. 9

    長嶋茂雄さんの引退試合の日にもらった“約束”のグラブを含めてすべての思い出が宝物です

  5. 10

    遠野なぎこさんは広末涼子より“取り扱い注意”な女優だった…事務所もお手上げだった