人生100年時代の老いの準備本

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「70歳からの老けない生き方」和田秀樹著

 高齢の域に達すれば、いろいろと不自由は出てくるもの。しかし上手に老いと付き合っていけば、若いときとはまた別の楽しみが出てくる。暮らし方から心構えまで、人生の先輩たちから「老い」との付き合い方を学ぼう。



 近年、「健康寿命」という言葉をよく耳にする。「介護の必要もなく自立して生活できる期間」のことだが、男性のそれは72.14歳。平均寿命から逆算すると、約8年を要介護状態で過ごすことになるという。本書は、70代、80代の人たちが肉体的、精神的老いを予防し、健康寿命を高めて、上機嫌で生きていくための指南本。

 健康寿命を維持するために大きなカギとなるのは「筋肉」だ。きちんと食べられる人ほど筋肉量が保たれ、認知症になりにくいというデータもある。その意味で、「粗食」は厳禁。肉類など、動物性タンパク質をしっかり取ることが大切だ。また、感情を老化させないためには、仕事や趣味、家事から引退しないことが一番だという。思考や判断をつかさどる前頭葉が刺激され、意欲的でいられるという。

 ほかにも「向上心、好奇心を育てる」「新しい情報への感度を磨く」「自分を素人、初心者と思う」など、老化をストップさせる心と体の向き合い方を紹介する。

(リベラル社 1320円)

「図解だからわかる 長生き食」小林弘幸著

 90歳や100歳を過ぎても元気な人が増えている。高齢者になる前に亡くなる人とは、どんな差があるのか。要因はさまざまだが、大本になるのは「食生活」だという。

 ポイントは2つあり、1つは「体が必要とする栄養素が含まれた食べ物」。もう1つは「腸が元気になる食べ物」だ。その代表食材が、食物繊維と発酵食品である。食物繊維の量アップには、発酵性食物繊維が豊富な「もち麦」を白米に混ぜて取るとよい。腸内環境も整い、血糖値の上昇もゆるやかだ。さらに免疫力を高め、認知症予防にも一役買う。

 またオリゴ糖も食物繊維が豊富。腸内の有用菌のエサになるので、砂糖の代わりに使うのがおすすめだ。

 ほかにも「納豆+キムチ」は最強ペア、大豆、きなこ、高野豆腐は更年期に効く、寝起きには水を1杯飲んで腸を目覚めさせる、夕食と朝食の間隔はできるだけ空けるなど。長生きする食べ方、食習慣を自律神経研究の第一人者が教える。

(興陽館 1298円)

「70からはメリハリ元気で自然な暮らし」沖幸子著

 人生100年時代とはいえ、70代になればさまざまな老化現象を自覚するようになる。そこで大事になってくるのが、考え方のコツや、生活のメリハリのつけ方だ。実は「面倒くさい」など感情を左右しているのは自分自身の環境。散らかったり、ホコリがたまっていると、「もう、いいや」と投げやりな気分になりがちなので、清潔で快適な状態の部屋を目指したい。

 高齢者に向く掃除といえば、掃除道具の出し入れ不要の、タオル掃除だ。「はたく」「拭く」など4つの基本動作の役割を持っているので、気が付いたとき、汚れたときにさっと手に取り、ひと拭きすればOK。これで“そこそこ”きれいな状態が保てる。

 また年を重ねると不安が大きくなる。健康面ならどこか悪いところがあるのは当たり前と思い、一病息災の気持ちで生活習慣を見つめ直す。お金の不安があるなら、資産の洗い出しをする。

「体と頭を衰えさせない家事のやり方」「季節を味わい尽くすための方法」など、掃除のプロによるシニアを楽しむゆとりのつくり方を紹介。

(祥伝社 1650円)

「自分がおじいさんになるということ」勢古浩爾著

 著者は74歳になったが、ちょっと信じられないでいる。気分はまだ40、50代。しかし体の内外では確実に老化が進行していて嫌でも老いを自覚せざるを得ない。3年前には脳梗塞に見舞われた。幸い後遺症もなく回復したが、以来、日々の生活でときどき、死を意識するようになった。

 死とは未来永劫、真っ暗な世界に閉じ込められることだ。それに比べ「生」は、明るく温かく、感覚があふれている。そう思ったとき、「生きているだけで楽しい」という年寄りにとって盤石の土台ともいえる感覚を本当に手に入れたそうだ。今は青空、薫風、花や雨など「自然元素」、そして見えること、食べられることなど「身体元素」を心身で感じることが楽しい。そんな土台をしっかりと持ったうえで著者は歩くこと、自転車、喫茶店、読書などを1人で自由に楽しんでいる。

「生きている実感」が、そのまま充足感につながることを教えてくれる「定年後のリアル」シリーズ、4年ぶりの新刊。

(草思社 1540円)

「定年後にもう一度大学生になる」瀧本哲哉著

 次男が入学した北海道大学を訪れたとき、「もう一度大学で勉強したら楽しかろう」と思い、本当に大学入学を目指した著者。3年の受験勉強を経て、定年1年前の59歳のとき、京都大学経済学部の学生になった。

 2度目の学生生活の楽しさの1つは、若い学生たちとの付き合いだ。最初は「ノート見せて」「出身どこなの」という話から、専門科目を受講する2回生ともなるとレジュメの貸し借りや勉強を教え合う同級生の関係となり、自分の年齢を忘れて過ごしたという。しかし何といっても醍醐味は、就職の心配なく勉強、研究に没頭できることである。成果の出やすいテーマを選ぶ必要もなく、興味や関心のあることを自由に学ぶことができるのは「将来がない」学生ならではだ。

 ほかにも吉田寮での暮らし、学費や家族のこと、受験体験記まで、「ただ知りたいことを勉強する楽しさ」が伝わる学び直しガイド。

(ダイヤモンド社 1650円)

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