「ラストバトル」草凪優著

公開日: 更新日:

 主人公は、元プロレスラーの川岸幸正。10年前に現役引退してから、ラーメン屋を営んできたものの経営が思わしくなく、所有していたマンションを手放すところまで追い詰められていた。そんなとき、かつて所属していたインターナショナル・プロレスの後輩たちが川岸を訪ねて店にやってくる。新興団体WWGに所属する若手エースのナカタシンジが、川岸との対戦を望んでいるというのだ。人気プロレスラーが相手なだけに、東京ドームでの興行ができ、ファイトマネーは1000万だという。

 客足が落ちて会社をたたむことになったと嘆く後輩たちは、最後に川岸メインの興行を打ち上げたいと迫るが、川岸は今さら復帰はないと対戦を断って追い返した。しかし、その後川岸が復帰するとの誤報が報道され、ラーメン屋にコアなプロレスファンたちが押しかけ、後輩からも挑発されるうち、50歳の川岸の中にかつての闘志が蘇る。

「この官能文庫がすごい!」大賞を受賞し、官能小説界を牽引してきた著者による、ハードボイルド・プロレス小説。中年レスラーの復帰劇から闘う男へのエールが伝わってくる。

(竹書房 1870円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「転職者は急増」なのに「人材派遣会社は倒産」が増えているワケ

  2. 2

    俳優・山口馬木也さん「藤田まことさんは『飲め、飲め』と息子のようにかわいがってくれた」

  3. 3

    驚きの品揃え! ダイソーでほぼすべて揃う「防災グッズ」の実力は?

  4. 4

    優勝の祝儀で5000万円も タニマチに頼る“ごっつぁん体質”

  5. 5

    前代未聞の壮絶不倫・当事者のひとりがまたも“謎の欠場”…関係者が語った「心配な変化」とは???

  1. 6

    長嶋一茂はこんなにも身だしなみを意識している? VIOはもちろんアンチエイジングも

  2. 7

    大関・大の里すでに「師匠超え」の鋼メンタル!スキャンダル報道もどこ吹く風で3度目賜杯

  3. 8

    大関・大の里3度目優勝で期待される「大豊」時代の幕開け…八角理事長も横綱昇進に期待隠さず

  4. 9

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  5. 10

    国民民主党はやっぱり与党補完勢力だった! 企業・団体献金「存続」で自民党に塩を送る罪深さ