「枕頭の一書」窪島誠一郎著

公開日: 更新日:

「枕頭の一書」窪島誠一郎著

枕頭の一書」とは、人が死ぬ間際に近くに置いていた、読みかけていた本のことだ。著者は、その人がなぜその本を「人生最後の本」に選んだのかを考えた。

 著者の父、水上勉の病床にあったのは正岡子規の文庫本だった。窪島は「病牀六尺」ではないかと思ったのだが、それは「仰臥漫録」だった。「病牀六尺」は子規が病苦にあっても精神的余裕を失わず、作句や写生について語っているが、「仰臥漫録」は子規の人間的弱さが正直に吐露されている。水上の「死」への覚悟を固めさせるのに役立ったのではないか。

 ほかに、芥川龍之介が手放さなかった「新約聖書」など、最後の本について考察する。

(アーツアンドクラフツ 2200円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    宮城野部屋「永久閉鎖」コースを匂わす元横綱・白鵬、弟子もろとも浅香山部屋への移籍案

    宮城野部屋「永久閉鎖」コースを匂わす元横綱・白鵬、弟子もろとも浅香山部屋への移籍案

  2. 2
    志村けんさん女性関係も堂々と…放送されなかった交際相手

    志村けんさん女性関係も堂々と…放送されなかった交際相手

  3. 3
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 4
    松本人志が裁判の前に問われているのは“遊び方の質”だ…北野武は「せこいよ」とバッサリ

    松本人志が裁判の前に問われているのは“遊び方の質”だ…北野武は「せこいよ」とバッサリ

  5. 5
    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

  1. 6
    大谷翔平は野球だけでなく“新妻の隠し方”も超うまかった 結婚は引退後…の予想を見事に裏切る

    大谷翔平は野球だけでなく“新妻の隠し方”も超うまかった 結婚は引退後…の予想を見事に裏切る

  2. 7
    志村けんさん急逝から4年で死後トラブルなし…松本人志と比較される女性関係とカネ払い

    志村けんさん急逝から4年で死後トラブルなし…松本人志と比較される女性関係とカネ払い

  3. 8
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9
    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

  5. 10
    頬ゲッソリで覇気なし 相撲解説の貴乃花親方“異相”が話題

    頬ゲッソリで覇気なし 相撲解説の貴乃花親方“異相”が話題