「枕頭の一書」窪島誠一郎著

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「枕頭の一書」窪島誠一郎著

枕頭の一書」とは、人が死ぬ間際に近くに置いていた、読みかけていた本のことだ。著者は、その人がなぜその本を「人生最後の本」に選んだのかを考えた。

 著者の父、水上勉の病床にあったのは正岡子規の文庫本だった。窪島は「病牀六尺」ではないかと思ったのだが、それは「仰臥漫録」だった。「病牀六尺」は子規が病苦にあっても精神的余裕を失わず、作句や写生について語っているが、「仰臥漫録」は子規の人間的弱さが正直に吐露されている。水上の「死」への覚悟を固めさせるのに役立ったのではないか。

 ほかに、芥川龍之介が手放さなかった「新約聖書」など、最後の本について考察する。

(アーツアンドクラフツ 2200円)

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