「笑いの脳科学」亀山茂樹著

公開日: 更新日:

「笑いの脳科学」亀山茂樹著

 人が笑うとき脳の中で何が起こっているかは長年、大きな謎であった。本書は、定位温熱凝固術という国産のてんかん外科手技を開発した著者(新潟医療福祉大学客員教授)が、その謎に取り組んだ四半世紀にわたる研究成果をまとめた労作である。

 笑いをつくる脳の基本的な仕組みの中核は辺縁脳が担っており、個々人に笑いをつくる神経ネットワークが生まれつき完成しているという仮説がそれだ。

 また、笑いの閾値(笑う・笑わないの境目となる値)に個人差があり、“笑い音痴”の人もいることや、生まれたばかりの赤ちゃんが産湯につかってまどろんでいるときに、にんまりすることがあるのは遺伝的なもので、やがて育っていき、母親の声に反応して声を立てて笑うようになるのは、外因的なソーシャルスマイルであるなど、笑いに関する雑学紹介は平易で興味深い。

(考古堂 1540円)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ