「梅雨物語」貴志祐介著

公開日: 更新日:

「梅雨物語」貴志祐介著

 梅雨寒の日、俳人の作田慮男(のぶお)の家を教え子の萩原菜央(なお)が訪れた。菜央は10年前、作田が顧問をしていた中学の俳句部の生徒だった。先月、自殺した兄、龍太郎の歌集「皐月闇」を持参して、作田の感想を聞きたいという。

 作田が平凡な句に目を通して終わりの方にさしかかったとき、急に鼓動が速くなった。沖縄で詠んだ句に目をとめた作田が、いつ旅行に行ったのかたずねると、2年前の夏、坂田瞳と婚前旅行に行ったという。

 その名を聞いて作田の脳裏に不協和音が響いた。だが、認知症が出始めた作田は思い出せない。作田は、重要なのはこの中の13句だけだと言い、解釈を始めるが、それは菜央のしかけたワナだった。(「皐月闇」)

 暑い日に背筋が寒くなるミステリーとホラー3編。

(KADOKAWA 2145円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    山田涼介が「令和最強アイドル」と評されるワケ…主演ドラマ「一次元の挿し木」は玉森裕太を三歩リード

  2. 2

    沈黙貫く橋本愛vs佐藤二朗「週刊新潮」で反論の泥沼化…SNS連投で"自滅"を心配する声も

  3. 3

    『ひよっこ』再放送記念、神回「ビートルズがやって来る」再録

  4. 4

    骨折で入院中ですが…ブラジルに惜敗した森保Jを巡る一部炎上報道で心が痛い

  5. 5

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  1. 6

    男子バスケ日本代表に激震、ホーバス監督“解任”の真相…過去には八村塁と確執も 

  2. 7

    孤立深まる高市首相…国会10日ぶり正常化でも続く“包囲網” 与党内からも反発の声噴出の自業自得

  3. 8

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  4. 9

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  5. 10

    村上誠一郎前総務相が高市政権バッサリ!「これが本当に保守政治なのか」…突きつけた自民「立党宣言」との乖離