「無名の人生」渡辺京二著

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「無名の人生」渡辺京二著

 昨年亡くなった著者による人生論。

 執筆時に80代半ばだった氏は、友人も亡くなり周りは知らない人ばかりになったが、まだ生きることに執着があると吐露。

 しかし、今よりも寿命がはるかに短かった江戸時代の人々は「生」に執着することなく死んでいった。何事もなく死を受け入れていた江戸期の人と、今の人はどこが違うのか考察を重ね、「人間、死ぬから面白い」と説く。

 一方で、明治維新前後に来日した西洋人に日本がどう映ったのかを記した出世作「逝きし世の面影」をなぜ書くことができたのか。それは異国からきた彼らと同じ視線を自分が持っていたからだと自己分析。

 北京や大連で過ごした少年時代、そして引き揚げ体験など、人生を振り返り、流浪することこそが人間本来のあり方だと語る。

(文藝春秋 935円)

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