「叛逆老人 怒りのコラム222」鎌田慧著/論創社

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「叛逆老人 怒りのコラム222」鎌田慧著/論創社

 旬報社から刊行中の「佐高信評伝選」の推薦文に鎌田はこう書いてくれた。

「佐高信を信頼しているのは、歳を重ねるにつれてますます批判がラジカルになっているからだ」

 しかし、これは私以上に鎌田自身のことだろう。私より7歳上の鎌田は毎週1回「東京新聞」のコラムで怒りをぶつけている。その連載を編んだのがこの本だが、最後が昨年の9月27日の「今日の『国葬』反対デモ」。

 日比谷公園で開かれた反対集会の予告で「落合恵子、佐高信、松元ヒロ、鎌田が挨拶」とあるけれども、声をかけて先頭に立ったのは鎌田だった。原発反対等の集会でもそうである。

「狭山事件」の再審請求の署名を届ける時も、鎌田からの電話で落合や古今亭菊千代と共に私は参加した。そして、あやまって「殺人犯」の烙印を押された石川一雄が獄中でゴキブリを飼っていたことを知った。その生命力の強さに引かれてである。

 鎌田は青森、私は山形と同じ東北出身ということもあって、私は鎌田に兄事してきた。同郷の葛西善蔵についての著書もある鎌田は飄々として少しも偉ぶるところがない。

 盗聴法反対の集会でだったか、福島出身の鈴木邦男と鎌田と私が一緒になったことがあった。

「今日は奥羽越列藩同盟だね」と戊辰戦争で賊軍とされた東北の同盟の話をしたら、すぐに鎌田が「津軽は早々に脱落してすみません」と頭を下げたので鈴木と私は驚いた。「白河以北一山百文」と蔑まれ、原発なども押しつけられてきた東北出身者の反骨心を鎌田は胸深く潜めている。

 多岐にわたるこの「怒りのコラム」の中で、やはり目立つのは飽くまでも原発をやめない電力会社と国への批判である。2019年10月8日のコラムはこう書き出されている。

「それでも辞めない関西電力幹部の腐敗。この事件で知らされたのは、八木誠会長が読売テレビ放送の社外取締役、岩根茂樹社長がテレビ大阪の社外取締役を兼任していた事実だ」

 関電の歴代の会長や社長が長い間、原発立地の町の助役からカネをもらっていたという想像を絶するスキャンダルについては、「驚き、である。まるでアベコベ」と指弾する。80代半ばで憤りの炎が消えないのが凄い。 ★★★(選者・佐高信)

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