「パリの空の下 ジャズは流れる」宇田川悟著

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「パリの空の下 ジャズは流れる」宇田川悟著

 20年ものパリ生活で、フランスの音楽について取材を続けてきた著者によるフランスジャズ変遷記。ジャズという音楽を単体でとらえるのではなく、文学、舞台、ファッションなどとからみあいながら成熟へと進んでいった過程を、自身の回想を加えながら立体的な物語へと紡ぎあげている。

 フランス植民地時代の影響下にあった米国南部のニューオーリンズで、奴隷としてアフリカから連れて来られた黒人の日常とフランス文化が融合した結果、ジャズという独自の音楽が生まれた。その後商業用レコードの発売が始まり、クラシック中心だった本国フランスにも20世紀初頭の波が押し寄せる。

 ジャズの普及の中心人物となったのは、自らジャズバンドのドラムも叩き、映画音楽にもジャズを使うほど心酔していたジャン・コクトーだ。作曲家エリック・サティやクロード・ドビュッシーを巻き込み、日本から渡仏した大杉栄や林芙美子、美輪明宏もその影響を全身で浴びた。

 異質の音楽として出発したジャズが、芸術の王道を歩むようになった経緯と、それにかかわった人々の人間模様がたっぷり楽しめる。

(晶文社 3960円)

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