「ギケイキ3」町田康著

公開日: 更新日:

「ギケイキ3」町田康著

 頼朝は、義経の恋人だった静の舞など見たくなかった。だが日照りのときに静が舞うと龍が現れ、雷雨が降ったという話を聞き、静に舞わせることを命じた。工藤祐経の妻は、頼朝に見せるためではなく、源氏の氏神である若宮八幡宮に参って神前舞を舞えばよいと、嫌がる静を説得した。

 静は鼓や鉦の楽人がいないことを口実にゴネたが、頼朝の家来の上手が演奏することに。人を驚かす新ネタにしようかと思ったが、静は大胆にも「入りにし人の跡ぞ恋しき」と義経への思いを歌う。むかついた頼朝は静を殺そうとする。頼朝の家来が青ざめるのを見て、プロの舞い手である静は、次に「入りにし人の跡絶えにけり」と歌って頼朝をなだめ、その場を切り抜ける。

 町田流の言葉で語られるエンターテインメント「義経記」。

(河出書房新社 2640円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン