「ホームコンピューター」アレックス・ウィルトシャー著 伊賀由宇介訳

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「ホームコンピューター」アレックス・ウィルトシャー著 伊賀由宇介訳

 いまやすべてがスマホで事足り、出番が少なくなったパソコンだが、高根の花だった時代、パソコンが我が家に初めて届いた日のあのワクワクした気持ちを覚えている人も多いのではなかろうか。

 本書は、黎明期の1961年から、社会現象を巻き起こしたウィンドウズ98が登場した1998年までに発売された家庭用コンピューターの名機を紹介しながら、その歴史を振り返るビジュアルブック。

 1975年にマイクロ・インストゥルメンテーション・アンド・テレメトリー・システムズ(MITS)が発売した「ALTAIR 8800B」は、個人用コンピューターに革命を起こした機種。

 インテルの新製品マイクロプロセッサー「8080」を搭載することで、大型かつ高価で、大学や企業のものと考えられていたコンピューターと同等の計算性能を実現。

 さらに、同機に目をつけた学生のビル・ゲイツとポール・アレンが同社への売り込みに成功。同機用に開発されたプログラミング言語「アルテアBASIC」は、マイクロソフト初の製品だ。

 そんな草創期のコンピューターから、1つのケースに必要なコンポーネントをすべて組み込んだ最初のポータブルタイプのパーソナルコンピューター「OSBORNE1」(1981年)や、日本でいち早くこの分野に参入して一時代を築いたソード社の「M23 MARKⅢ」(1982年)、そして家庭用マイクロコンピューターに初めて「グラフィカル・ユーザー・インターフェース」を搭載したアップルコンピュータの「LISA2」(1984年)など。

 開発に携わった技術者たちのエピソードも交えながら、時代順に100機を紹介する決定版コレクション。かつての愛機と再会できるかも。 (グラフィック社 3960円)


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