「日本史のなかの兄弟たち」安藤優一郎著
「日本史のなかの兄弟たち」安藤優一郎著
歴史上、兄弟の存在が時代を動かす原動力となった場面は多い。どちらかというと天下、権力、跡目をめぐる兄弟間での争いが目立つが、秀吉と秀長のように弟が兄の補佐役として力量を発揮した事例も多いという。
壬申の乱は、亡き天智天皇(中大兄皇子)と、その弟・大海人皇子のいわば代理戦争で、兄弟の争いが時代を動かした典型的な例だといわれる。しかし、兄弟の関係はもともと険悪だったわけでなく、大海人皇子は大化の改新後の難局に苦慮する兄の天皇を支え、天皇即位後も兄が目指した律令国家としての国造りを一層推し進めたそうだ。
ほか、足利尊氏と直義、北条氏政と氏規、吉田松陰と久坂玄瑞など。兄弟の結束が日本史を動かした事例に学ぶ歴史テキスト。
(中央公論新社 1155円)