浅越ゴエさんが振り返る お笑い界を離れていた時の思い出

公開日: 更新日:

「R―1ぐらんぷり」優勝、ソフトバンクモバイル主催「S―1バトル」2年連続チャンピオンの実力派。コントユニット「ザ・プラン9」メンバーとしても活躍している浅越ゴエさん(44)。一時、お笑い界を離れていた時があった……。

 ◇  ◇  ◇

 これは住友不動産販売に入社して間もなく、歓迎会をしていただいた時の写真です。当時25歳。配属されたのはJR大阪駅前の梅田営業センターで、中古物件の仲介をしてました。

 立命館大法学部で学んでいた90年代半ばは就職氷河期の真っただ中。少しでも就職に有利になるようにと資格取得が注目されていて、3回生の時に宅地建物取引主任者の資格を取ってたんです。

 ただ僕が選んだのはお笑いの道。吉本興業のタレント養成所・NSC大阪校に入学して、卒業後はコンビを組んでいました。ところが、なかなか芽が出ない。1年目のギャラは全部で数千円。2年目でも年収27万円ほどでしたから、コンビニのアルバイトで生活費を稼いでました。住んでいたのはJR京橋駅から徒歩10分ちょい、家賃2万7000円のオンボロアパート。毎月カツカツですよ。それでも僕らなりに頑張ったつもりですが、とうとうコンビは解散。先行きが見通せなくなりました。

■住友不動産販売

 そんなある日、バイト先の店長が「宅建取引主任者の資格を持っとるんなら」と住友不動産販売に勤めている同級生を紹介してくださった。それが入社後に上司となる梅田営業センター長。正式な入社試験をちゃんと受け、晴れて入社が決まりました。

 初めてのサラリーマン生活は新鮮でした。駆け出し芸人として最低限の礼儀やマナーは身につけていたつもりでしたが、いざ会社の名刺を持って仕事をするとなると、個人プレーではなくなります。言葉遣いから電話応対、挨拶まで、すべて一からやり直しって感じ。

 そして、お客さまそれぞれの希望や条件などを考慮して、最適なプランや物件紹介をしなければなりませんから、相手の話をきちんと聞くことが身につきました。業務時間はまちまち。お客さまのご都合に合わせるため、打ち合わせや提案、物件案内はどうしても夜や週末。定休日は火・水でしたし、一般的なサラリーマンとはかなり違う生活でした。

 サラリーマンになって何がよかったか。それは定額のお給料が毎月決まった日に入ることです。休まずに出勤して平均以上の成績であれば、生活は安定してます。

 もちろん売り上げ目標が設定され、それなりにたくさん汗をかかなければなりませんが、食えなくて困るってことはないです。それが精神的にも一番うれしかった。半年もしないうちに、このまま社員でいたらマンションか戸建て、余裕があれば車も買って……って青写真を頭の中で描いてましたもん。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」