俳優・プロ雀士の萩原聖人「麻雀を五輪種目に」覚悟を語る

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「面白さの本質がギャンブル性に向かうのは違う」

  ――サラリーマンや学生同士の麻雀でも金を賭けない方が珍しい。

 麻雀の面白さの本質がギャンブル性に向かうのは違うと思います。お金を賭けることによる刺激ではなく、競技の本質に踏み込めばもっと面白さは伝わる。Mリーグはゼロギャンブル宣言をしていますが、Mリーガーは一打一打、身を削って打っている。お金を賭けるのが嫌で麻雀から離れた人たちを再び卓に呼び戻したい。

  ――漫画「哭きの竜」や「アカギ」など麻雀劇画で描かれるプロの世界はおどろおどろしい。

 たしかに麻雀の魅力はアウトローの世界に通じるものはあります。反社会勢力同士が代打ちを立てて代理戦争とか(笑い)。でも、麻雀でお金を賭けると勝っても負けてもいい気はしない。金が絡むと友達もなくす。僕はギャンブル性に魅了されているわけではありません。

  ――ブームをどう仕掛けるのか。かつては作家の阿佐田哲也(注3)率いる「麻雀新撰組」が一世を風靡。麻雀ブームが巻き起こった。

 浅田真央ちゃんとか藤井聡太君のような彗星のような存在が生まれたら一気に局面が変わる。最近、ドラマの撮影現場で2人の大女優さんから麻雀を覚えたいと言われました。脳トレにもなるし、麻雀をやる目的はさまざま。サイバーエージェントの藤田晋社長(注4)がMリーグを立ち上げた理由にはプロ野球が終わったシーズンの娯楽として麻雀が広まればいいなというのがあった。競技の裾野は広がっている。Mリーグがその牽引役になればいいなと思います。

  ――Mリーグ開幕前に「ミスター麻雀」こと小島武夫さん(注5)が亡くなった。

 本当に可愛がっていただきました。魅せる麻雀の元祖ですし、小島さんがいたから麻雀が世の中に広がった。ファン第一を貫いた姿勢と遺志は受け継ぎたい。

  ――麻雀初心者へのアドバイスを。

 まず牌に触れて親指で盲牌する感覚を味わってほしい。PCやスマホでやる麻雀は、野球ゲームが野球ではないようにまったく別物。批判するわけではありませんけど。

  ――最後に。五輪競技への正式採用が“アガリ”だとしたら、今の手牌は。

 う~ん、難しい。丁寧にしっかり諦めずに打てば、終局間際に理想通りのタンピン三色がツモれるような……。ただ、今はまだ遠くにそれが見えている段階。4シャンテンくらいです。

(聞き手=本紙・米田龍也)

注1【Mリーグ】 競技麻雀のチーム対抗戦のプロリーグ。コナミ、サイバーエージェント、セガサミー、電通、テレビ朝日、博報堂DY、U-NEXTの7社が所有する1チーム3人の7チーム制で80試合を戦う。今年の7月17日に発足し、10月1日に開幕。シーズンは10月から翌年3月まで。優勝賞金5000万円。最高顧問は日本サッカー協会相談役の川淵三郎氏。AbemaTVの麻雀チャンネルにおいて全対局が動画配信中。
注2【Mリーグのルール】 東南戦で一発・裏ドラありのアリアリ。萬子、筒子、索子に各1枚ずつ赤牌が入る。
注3【阿佐田哲也】 「麻雀放浪記」などで知られるギャンブル小説の大家。1970年に「麻雀新撰組」を結成。麻雀ブームの牽引役となった。直木賞作家・色川武大の筆名。
注4【藤田晋社長】 サイバーエージェント代表取締役。大の麻雀好きで知られ、「AbemaTV」内でも麻雀チャンネルにたびたび出演。腕前はプロ顔負け。「Mリーグ」代表理事(チェアマン)。
注5【小島武夫】 プロ雀士。日本プロ麻雀連盟初代会長・最高顧問。阿佐田哲也、古川凱章らと「麻雀新撰組」を結成し、「11PM」の麻雀コーナーにも登場するなどタレント的人気を博した。“魅せる麻雀”を信条とし、“ミスター麻雀”の愛称で親しまれた。2018年5月に死去。享年82。

▽はぎわら・まさと 1971年8月21日、神奈川県生まれ。俳優。出演作多数。主な作品に映画「マークスの山」「CURE」、ドラマ「夏子の酒」「若者のすべて」など。テレビアニメ版「アカギ」「カイジ」では主人公の声優で出演。11月10日からドラマ「あなたには渡さない」(テレビ朝日系)がスタート。

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