著者のコラム一覧
二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

森昌子の“還暦引退宣言”から透ける歌手としてのジレンマ

公開日: 更新日:

 そんな雑音が出る前に自ら「引退」を宣言する人が現れた。昨年、田村正和は役者としての限界を悟り静かに引退。安室奈美恵も40歳の若さで引退宣言。惜しまれつつ行われた引退コンサートは大きな話題になった。平成の終わりを直前に今度は森昌子が還暦を迎えた区切りに引退を決意。異例の会見を行った。アイドル発掘番組「スター誕生!」から生まれた最初の歌手として13歳でデビュー。圧倒的な歌唱力は「第2の美空ひばり」とも称された。森進一との結婚で家庭に入り一時、引退したが、離婚で復帰を果たしていた。近年はコンサートを中心に精力的に活動していただけに、唐突な引退は意外だった。

「芸能活動以外のことに時間を使って人生を充実させたいと思うようになりました」と理由を語ったが、別な見方もある。

「今後の目標を聞かれて、口ごもってしまった」という言葉に歌手としてのジレンマが透けて見える。

 歌手を続ける以上、常に次への挑戦を持つことがモチベーションにもなる。ホリプロ時代の後輩、石川さゆりは布袋寅泰のギターとコラボして「天城越え」を歌い、最近も民謡をアレンジした楽曲を出すなど新たな挑戦を続けている。森は往年のヒット曲で全国を回っているが、セーラー服で「せんせい」を歌うなど工夫はしているものの、それは来場したお客さんを飽きさせずに楽しませることが目的。いくつになっても歌手としての進化を目指す石川とは違う。

 一世を風靡した森。目標のなくなった歌手生活よりも、引き際の美学を貫いたのだろう。会見に涙はなく爽やかな顔だった。今後の人生を楽しむのも賢明な選択だったと思う。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  4. 4

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

  5. 5

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  1. 6

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  2. 7

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  3. 8

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも