著者のコラム一覧
平野悠「ロフト」創業者

1944年8月10日、東京都生まれ。71年の「烏山ロフト」を皮切りに西荻、荻窪、下北沢、新宿にロフトをオープン。95年に世界初のトークライブ「ロフトプラスワン」を創設した。6月、ピースボート世界一周航海で経験した「身も心も焦がすような恋」(平野氏)を描いた「セルロイドの海」(世界書院)を刊行。作家デビューを果たした。

「3密最前線」としてヤリ玉に…ついに渋谷で感染者が出た

公開日: 更新日:

「まさか……まさかとは思うが……」

 私が口火を切った。

「それが……そのまさかなんです」

「おいおい、悪い冗談はやめてくれ」

「3月20日、渋谷<ロフトヘブン>で2人ほど感染者が出ました。保健所の指令で明日、ライブ現場の消毒を行います」

 私は言葉を発する気力を失ってしまった。

「発熱の症状を訴えている店員もいます。感染源ですが、どうやら当日の演者(出演者)さんだったようです。さすがに演者さんの熱を測ったり、病状を確かめたり、それはできませんでした。それにしても演者さんが持ち込んでくるとは……。本当に参りました」

 加藤社長の言葉を聞きながら、私は1971年3月に<烏山ロフト>をオープンした当時を思い出していた。一国一城の主になって誇らしかったが、1~2週間もすると閑古鳥が鳴いた。閑散とした店内で呆然と立ち尽くす毎日。49年後にコロナ禍でロフトが存続の危機に瀕するとは……。 (つづく)

【連載】ロフト創業者が見たライブハウス50年

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  3. 3

    松下洸平“電撃婚”にファンから「きっとお相手はプロ彼女」の怨嗟…西島秀俊の結婚時にも多用されたワード

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  1. 6

    (1)広報と報道の違いがわからない人たち…民主主義の大原則を脅かす「記者排除」3年前にも

  2. 7

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  3. 8

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  4. 9

    自民党「石破おろし」の裏で暗躍する重鎮たち…両院議員懇談会は大荒れ必至、党内には冷ややかな声も

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」