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大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

亀梨和也「事故物件」好調 松竹とジャニーズの意外な関係

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 一方、松竹となると「ザ・ファブル」などでテレビ局の出資はあるものの、あくまで松竹主体の製作体制を敷いているのが特徴だ。しかもそこからは大作路線の方向性は見えず、題材重視の娯楽作や山田洋次監督の問題作といった製作姿勢を貫く。興行云々はともかく、この5年ほどのさきの作品は非常にクオリティーがしっかりしていることも指摘しておきたい。時代を見据えた出色の社会派路線の「空飛ぶタイヤ」、切れ味最高のアクション「ザ・ファブル」、母と息子の濃密な関係を描く「母と暮らせば」。どれをとってもその年の邦画の大きな成果であったと思う。

「事故物件 恐い間取り」は映画評論家筋の評価は高くないが、コミカルさのなか、じわり恐怖感覚を押し出していく演出手腕はさすがだと思った。亀梨は奇をてらわない抑制的にも見えたしぐさが、主人公である芸人のうらぶれた味を出すことにつながった。彼の演技力は本作の見どころの一つだろう。

 松竹は実のところ、この時期にもう1本公開している。残念ながら興収10億円突破が難しい情勢になった永瀬廉主演の「弱虫ペダル」だ。この作品が青春の息吹きをたたきつけたような忘れがたい感動的なスポーツ映画になっていた。このことも付け加えておきたいと思う。

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