著者のコラム一覧
神田松鯉講談師

昭和17年生まれ。群馬県出身。新劇・松竹歌舞伎などの俳優を経て、昭和45年2代目神田山陽に入門。昭和52年真打ち昇進。平成4年3代目神田松鯉を襲名。令和元年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。

「講釈師、見てきたような嘘をつき」の意味とは?

公開日: 更新日:

 前回は人気の怪談を取り上げたが、語られている講談はどれくらいあるのか。実は江戸時代から伝わる講談は4500話以上もある。

「講談の原点は何かというと軍談です。戦国時代の終わりに平氏と源氏の『源平盛衰記』や『太平記』を朗々と読む『太平記読み』と称した人がいました。江戸時代に入ると『軍書講釈』を始めるようになります。戦記物語を『講じて』『釈する』ようになった。朗々と読む部分だけでなく、講釈の面白さを取り入れたのです」

 具体的には――。

「江戸初期には戦そのものの話から勇将や名将に焦点をあてて講釈するようになりました。例えば大坂の陣で活躍した豊臣方の猛将、黒田官兵衛の配下に後藤又兵衛という武将がいました。大坂夏の陣ではわずか2800の兵で2万を超える軍勢を相手にした豪傑で、又兵衛はこんな人物だったと面白おかしく講釈したわけです」

 そして、さらにわかりやすくくだけた講釈になっていった。

「武家や殿様の生い立ちを面白く語るようになります。それからお家騒動もので跡継ぎの話が登場します。そうなると密談の“会話”を入れるようになり、軍談とは異なる面白さが出てくる。例えば、お家乗っ取りの話で犯罪の陰に女ありというような展開になる。行きつくところは庶民の人情を描く世話物です。市井の題材を取り入れた講釈も出てきて、白波ものといわれる泥棒の話なんかもその流れで、お馴染みなのは『鼠小僧』です。また、政談なら『大岡越前』になっていき、侠客ものなら博徒の『国定忠治』、人入れの元締(人材斡旋業)なら『幡随院長兵衛』『夕立勘五郎』とか『祐天吉松』。いろんなジャンルの世話物がどんどん出てきた。『祐天上人一代記』など有名な歴史上の名僧が講談になったのもこの頃です」

 江戸時代にはそれまでの史実から架空の話まで始まり、明治にかけて広がった。

「講釈師、見てきたような嘘をつき」と言われるようになった背景はこういうことなのだ。

 (構成=浦上優)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    矢沢永吉&松任谷由実に桑田佳祐との"共演"再現論…NHK紅白歌合戦「視聴率30%台死守」で浮上

  4. 4

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  5. 5

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  1. 6

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 7

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 8

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  4. 9

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  5. 10

    国分太一「人権救済申し立て」“却下”でテレビ復帰は絶望的に…「松岡のちゃんねる」に一縷の望みも険しすぎる今後

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    オコエ瑠偉 行方不明報道→退団の真相「巨人内に応援する人間はいない」の辛辣

  2. 2

    ヤクルト青木宣親GMは大先輩にも遠慮なし “メジャー流”で池山新監督の組閣要望を突っぱねた

  3. 3

    矢沢永吉&松任谷由実に桑田佳祐との"共演"再現論…NHK紅白歌合戦「視聴率30%台死守」で浮上

  4. 4

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 5

    清原和博 夜の「ご乱行」3連発(00年~05年)…キャンプ中の夜遊び、女遊び、無断外泊は恒例行事だった

  1. 6

    DeNA三浦監督まさかの退団劇の舞台裏 フロントの現場介入にウンザリ、「よく5年も我慢」の声

  2. 7

    Cocomiと男子バレー小川智大の結婚に立ちはだかる母・工藤静香の“壁” 「日の丸ブランド」認めるか?

  3. 8

    日本ハムが新庄監督の権限剥奪 フロント主導に逆戻りで有原航平・西川遥輝の獲得にも沈黙中

  4. 9

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  5. 10

    《浜辺美波がどけよ》日テレ「24時間テレビ」永瀬廉が国技館に現れたのは番組終盤でモヤモヤの声