俳優・横内正さんのエネルギー源は「望まれること、評価されていることはやり続けること」

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好き嫌いが激しく、好きなのはステーキ、焼き肉、とんかつ

 健康法とか、まるで気にしないタイプです。

 若い頃は六本木でバーテンのアルバイトをやっていて、そこで酒を覚えてよく飲みました。京都時代は夕方になると撮影が早く終わらないかとイライラしてね。早く飲みに行きたいから。撮影が終わるとタクシーに乗って先斗町や祇園の行きつけの店に繰り出しました。そんな自然体で飲み食いするのが健康の秘訣だったかもしれないですね。

 若い頃の話ですが、芸能界酒豪番付にも載っていました(笑)。三船敏郎さん、勝新太郎さんらそうそうたる人たちに交じって。前頭だったか関脇だったか忘れましたが。酒量は誇れるほどではなかったけど、横内というとお酒のイメージがピタッとくるような。当時はワインなら2、3本は軽く空けていました。ある時期から焼酎に変わりましたが。

 僕の飲み方をひとつ挙げるなら、つまみをあまり食べないことですね。つまみでお腹が膨らむとその分、お酒が入らない気がして、バカバカしくて。それでほんのちょっと手の甲のところに塩をのせて、それを少し舐めながら飲んだり。今はそんなこともなく、飲んでも舐めるほどです。セーブしているわけじゃなく、もう十分飲みましたからね。体が受け付けない。

 食べ物は今も昔も変わりません。刺し身などの生もの、魚が苦手、鶏が食えない、みんながおいしいという鰻もダメ。好き嫌いが激しいんです。ですから、自分の好きなものをこさえて食べた方がいいと思って、自分で料理を始めました。一時は週刊誌で僕が食べる料理の連載をやっていたこともあります。

 刺し身、鶏、鰻を食べられない代わりに肉をよく食べます。テレビを見ていたら、年配のおばあさんが毎食ステーキを食べているというのを取り上げていました。お年寄りになると野菜や魚などの淡泊な食事がいいといわれますが、肉、ステーキを食べた方が健康にはいい、肉を食べた方がいいという説もある。

 ステーキは1週間にせいぜい1回くらいだけど、焼き肉はよく食べる、豚肉、とんかつも好きです。何か食べるとああなるこうなるというので、自分自身をがんじがらめに縛って、食べ物を制限するのがむしろよくない。自然体で好きなものをほどほどに食べるのが一番いいんじゃないかと思います。

 薬は飲んでいません。寝るような病気にも一度もかかったことがないです。社長兼マネジャーが僕の健康を気遣ってくれて、具合が悪いと言うとすぐに病院に連れてってくれるし、人間ドックは定期的にやって、部分的な〇〇ドックみたいなものも受けています。でも、血圧が少し高い程度。肝機能の数値も低いし、骨密度に至っては若者と変わらないそうです。自分でもビックリしました。

 元気なのは常に若者と接しているからでしょうね。29日から三越劇場で5回目の「リア王」をやります。若い人もいっぱい出演して、激しい戦のシーンもあります。若い人がこちらを年寄り扱いしないでやってくれるし、そんな若いパワーをいただいていることも健康の秘訣です。

 僕は昭和世代の生き物です。彼らは平成。もちろん、ものの考え方は違います。僕はものすごくアナログで、パソコンはやらないし、携帯電話を使うのも、事務所に直接電話する時くらい。まるで時代劇を生きているみたいです(笑)。それでもこちらからへつらって彼らによく思われようなんてしないし、常に自然体でいます。

 怒る時は怒るし。いい時は「よかった」と褒めます。若い人は言葉ひとつで落ち込んだり励みにしたりする。そういう起伏を肌で感じて、目で確認し、うまくコンタクトを取りながらコミュニケーションを取るようにしています。面白いお芝居をつくろうと思って、そういう作業をまだやれることも健康の秘訣かもしれません。

 体のメンテナンスで整体を週に1、2回やってもらったり、ストレッチやスクワットをパーソナルトレーナーをつけてやってもらったりもしましたが、今は時間が取れないのでお休みしています。公演が終わったらまた再開しようかなと思います。

 来年も引き続き、三越劇場でシェークスピア劇としてはパート7をやる予定です。そういう次のテーマがあることも元気な理由でしょうね。サラリーマンの方が会社を定年した途端に老けちゃうことがあります。そうならないためには継続してテーマを持つこと。テーマがあるとまた来年まで健康でいられるんじゃないでしょうか。

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ

■三越劇場「リア王 theKingLEAR2024」(8月29日~9月2日、全6回) ◇上演台本・演出・主演は横内正、出演は大沢逸美、笠井信輔、小宮孝泰、大鶴義丹、松村雄基、三浦浩一ほか。音楽監督は横内丙午、振付・所作指導は松井誠。

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