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スージー鈴木音楽評論家

1966年、大阪府東大阪市生まれ。早大政治経済学部卒業後、博報堂に入社。在職中から音楽評論家として活動し、10冊超の著作を発表。2021年、55歳になったのを機に同社を早期退職。主な著書に「中森明菜の音楽1982-1991」「〈きゅんメロ〉の法則」「サブカルサラリーマンになろう」「大人のブルーハーツ」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた最新刊「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」(日刊現代/講談社)が絶賛発売中。最新刊「日本ポップス史 1966-2023: あの音楽家の何がすごかったのか」が11月10日に発売。ラジオDJとしても活躍。

「TOKIO」はイントロの25秒で80年代をグッと引き寄せた

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 弾いているのは、もちろん編曲を担当した後藤次利。そのチョッパー(スラップ)ベースで、ロンドンをあっと言わせた腕前が生きている。そして、ボーカルが入ってくる直前、「♪レーミレー・ラソミ」(キーはD)を繰り返す、いかにも80年という感じのピコピコしたシンセサイザーが割り込んでくる。

 80年代後半には、既存のアナログ楽器を再現する「便利ツール」のようになるシンセだが、このころは「いかにもピコピコした」シンセが最先端だったのだ。

 その下で──よく耳を澄ましてほしい──後藤次利のベースが超絶技巧を決めているのである。超絶過ぎて文字では書き表せないが、低音のレンジで得体の知れない何かが、とんでもなくはじけまくっているのが分かるだろう。

 ここまで何度か使ってきた「ニューウエーブ」という言葉、若い方には分かりづらかったかもしれない。私の思うニューウエーブとは、言ってみれば、このイントロそのものである。

 そして、このイントロだったからこそ、「TOKIO」は80年の象徴となれた、と私は思う。

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