真田広之は千葉真一の教え「学業優先」に忠実に従い堀越高校から日大芸術学部に進学
堀越高校ではDコース(現トレイトコース)に入った。通称「芸能クラス」である。単位制を導入し、補講を行うなど、欠席が多い生徒をサポートする体制がとられている。出席日数が足りなくても、学校側の判断で進級させるケースも少なくなかった。しかし、真田は芸能人のために設けられたこうした特別待遇を一切、受けなかった。千葉から「学業を優先しろ」と命じられたからだ。芸能活動も休止した。
「自身に続き、将来は真田も海外に進出すべきとの考えを千葉は持っていた。そのためには単なる役者バカではいけない。広い視野を持つ必要があると」(東映元社員)
忠実に千葉の言葉を守っていた真田だったが、高校3年に上がる前に芸能活動を再開した。映画「柳生一族の陰謀」のオーディションに合格したからだ。ヤクザ路線が行き詰まっていた東映が社運をかけた大作だった。萬屋錦之介と千葉のダブル主演で、真田が演じたのは陰謀に巻き込まれる武士という重要な役だった。映画は大ヒットした。
以降、映画、ドラマと主役級の役が真田に次々に舞い込んできた。そのさなか、日大芸術学部映画学科に入学した。「高校を卒業したら仕事だけに邁進するものと思っていたので、大学進学は驚いた」と前出の堀越関係者は話す。日芸出身者には数多くの芸能人がいるが、入学の段階ではまだデビュー前だったり、タレント2世というケースがほとんど。「売れっ子になってから入ってくるのはめずらしい」(日大教授)という。