著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

うがいに薬はいらない

公開日: 更新日:

風邪予防にうがいは効果がある」といわれていますが、実際はどうなのでしょうか。うがい薬は効果があるのでしょうか。今回はうがいの風邪予防効果を検討した研究をご紹介します。

 この研究は2005年11月にアメリカ予防医学会が発行している医学専門誌に掲載されたものです。18~65歳の健常者387人を3つのグループにランダムに振り分けました。「1日3回水でうがいをするグループ」「1日3回うがい薬(ポピドンヨード)でうがいをするグループ」、そして「これまでの習慣どおりに過ごしてもらうグループ」です。60日間追跡調査を行い、上気道炎(風邪)の発症を比較検討しました。

 その結果、30日間における上気道炎の発生率は、研究参加者1人当たり、これまでの習慣通りに過ごしていたグループで0.26回、水でうがいしていたグループで0.17回、うがい薬を使ったグループで0.24回でした。これまでの習慣通りに過ごした場合と比較して、水でうがいしたグループでは、上気道炎の発症が36%統計的にも有意に少ないことが示されています。しかし、うがい薬でうがいしたグループは11%少ない傾向にありましたが、統計的に明確な差は認められませんでした。

 この論文結果から、成人でのうがいは風邪を予防する可能性がありますが、必ずしもうがい薬でうがいをする必要はなく、水で十分ということがいえそうです。

【連載】役に立つオモシロ医学論文

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲