ついに厚労省も削減へ 「抗生物質」に潜む危険と勘違い

公開日: 更新日:

 風邪をひいたら、とりあえず医者に抗生物質を処方してもらって飲む――。こんなパターンをずっと続けている人は多いのではないか。しかし、これは大きな勘違い。ヘタすると逆効果にもなりかねない。

 先月、政府は2020年までに抗生物質の使用量を33%減らす目標を掲げた対策を決定。厚労省は「医師は安易に抗生物質を処方しないこと」を呼びかけ、患者にも適正な使用を促す方針だ。

 抗生物質=抗菌薬は、細菌を殺したり弱らせたりする薬で、不適切に使い過ぎると、抗生物質が効かない「耐性菌」が発生したり増加する恐れがある。世界では、耐性菌が原因となった死者が70万人いると推計されていて、WHO(世界保健機関)も各国に対策を求めている。仮に対策を講じなければ、2050年には耐性菌による病気の死者が1000万人になると想定されている。

 抗生物質は、“とりあえず”安易に飲んでもいい薬ではないのだ。「いま飲んでいる薬が危ない!」などの著者で、薬剤師の深井良祐氏(ファレッジ代表)は言う。

「抗生物質は細菌に対して効果を発揮する薬で、ウイルスには効きません。そして、一般的な風邪のほとんどはウイルスによって発症します。つまり、多くの風邪には抗生物質は必要ないのです。もちろん、肺炎や中耳炎などの細菌感染症には効果的なので、2次感染を予防するために処方されているケースもあります。その一方で、細菌性なのかウイルス性なのかよく分からないから、念のため抗生物質を出しておこうという医師がいるのも事実です」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ