著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

家事を「脳のエクササイズ」と捉え直すことが認知機能ケアにつながる

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「年をとると物忘れが……」

 そんな加齢の不安は、多くの人に共通するものです。しかし、薬や検査だけでなく、日々の暮らしの中に認知機能の衰えを和らげるヒントがあるとしたらどうでしょうか。米国の健康長期追跡研究(Health and Retirement Study)を用いた最新の論文で、「高齢者の家事の頻度が認知機能の低下と関連する」ことが示されました。

 65歳以上の大人8141人を、家事活動の頻度に基づいて「ずっと高頻度」「低→高」「高→低」「ずっと低」の4グループに分類し、その後の認知機能の変化を追跡しています。その結果、ずっと家事の頻度が高い人は、認知機能の低下が緩やかだったのです。

 逆に「高→低」や「ずっと低」だった人は、4年間で追加的に認知スコアが低下する傾向が強く、統計的にも有意でした。家事頻度を高めた人(低→高)は、ほぼ高頻度群と同様に認知機能低下が抑えられる傾向があり、「遅く始めても効果あり」という可能性が示されました。

 なぜ、家事が脳に影響するのでしょうか? これまでの研究では、身体活動や社会活動が「認知予備力」を高めることが示されていますが、家事も日常生活に自然に組み込まれる身体活動なのです。掃除、洗濯、料理といった活動は、単なる動作以上に、計画・記憶・注意といった認知機能を使います。たかが家事、されど脳のトレーニングとも言えるのです。

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