著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

世界規模で見るとコスト莫大 ノロウイルスで6兆円損失も

公開日: 更新日:

 感染性胃腸炎の代表的な病気に「ノロウイルス感染症」があります。日本では毎年冬季に流行しマスメディアで大きく報じられることもあり、風邪と同じく身近な感染症といえます。

 通常、病気にかかると、医療機関を受診したり、薬をもらうために直接的な医療費がかかります。病気の間は仕事を休まねばならず、休職等による社会的な費用の損失もあります。ノロウイルスの流行は日本だけでなく世界規模であり、人々の生活にさまざまな影響を及ぼしています。

 では、ノロウイルス感染症は世界経済にどれくらい影響を及ぼすのでしょうか? それを検証した研究論文が、「プロスワン」(2016年4月26日付)という科学誌に掲載されました。この研究は、世界の国と地域233カ所のデータから、ノロウイルス感染症が与える世界的な経済的損失を試算したものです。

 その結果、直接的な医療費は、「年間42億ドル」(約4600億円)、社会的な費用の損失は「年間603億ドル」(約6兆5700億円)と算出されました。

 身近な感染症であっても、世界規模で見ると莫大なコストがかかっているようです。年齢別では5歳未満の費用が大きく、398億ドル(約4兆3300億円)に達していました。費用の主な負荷要因は、直接的な医療費では入院費用、そして社会的な費用では、休職等による非生産日数でした。

 ワクチンが開発されたロタウイルス感染症の世界的経済損失は、年間20億ドル(約2170億円)と報告されているようですが、ノロウイルス感染症はこれをはるかに上回っています。ノロウイルスに対するワクチン開発など、効果的な予防法確立は経済的にも重要かもしれません。

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