一般的な放射線との違いは 陽子線治療を知る8つのヒント
(3)体内の影響は?
「陽子線は、正常組織へのダメージを格段に下げられます」
一般的な放射線は、がんに強い放射線を当てると、がんより手前の正常組織にはそれより強い放射線が当たり、がんより後方の正常組織にも放射線が当たる。
しかし、陽子線は目的地のがんに最も強い放射線が当たり、突き抜けないので、後方の正常組織は“無傷”だ。
■負担が激減
(4)なぜ、小児がんに保険適用となった?
「小児の組織は成長過程なので、放射線の感受性が高く、成人より障害を受けやすい。二次性がんといって、小児がんは治っても、その後、別のがんが誘発されるリスクがある。また、がんではなくても、成長の過程で何らかの障害が出てくるリスクもあります」
二次性がんや、成長過程の障害を「晩期合併症」という。現在は小児がんの70%以上が治癒する時代で、小児がん治療の大きな課題のひとつは晩期合併症への対策。そのため、正常組織へのダメージが少ない陽子線治療が保険適用となった。