著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

「やせ形」の体形は将来の認知症を予測するサイン!?

公開日: 更新日:

 認知症は、前触れもなく突如として発症するわけではありません。遺伝や生活習慣など多様な要因が複雑に影響し合い、ゆっくりと認知機能が障害されていく病気です。

 肥満や高血圧糖尿病などは、認知症の危険因子として知られています。そのため、身長と体重から算出されるBMI(体格指数:米国人の平均は約28)、血圧や血糖値の変化を把握することは、認知症の兆候を早期に発見するうえで有用かもしれません。そのような中、認知症と関連する身体兆候を調査した研究論文が、米国医師会のオープンアクセスジャーナルに、2025年2月3日付で掲載されました。

 この研究では、オーストラリアと米国に在住している高齢者5390人(平均76.9歳)が対象となりました。被験者を、認知症の診断を受けた1078人と、同診断日に認知症と診断されていなかった4312人の2つの集団に分け、認知症の診断前から最大で11年間におけるBMI、ウエスト周囲径(WC)、血圧、血糖値、LDL(悪玉)コレステロール値の変化が比較されています。

 その結果、認知症と診断された人では、診断されていない人に比べて、BMIやWCが統計的にも有意に低い状態にありました。例えば、認知症の診断日から7年前のBMIは、認知症と診断された人で27.5、診断されていない人で28.0、診断日のBMIは、認知症と診断された人で26.1、診断されていない人で27.2でした。一方、血圧やLDLコレステロール値、血糖値については、認知症との関連性を認めませんでした。

 論文著者らは「過去10年間におけるBMIやWCの変化は、認知症の早期発見に役立つ指標かもしれない」と考察しています。

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