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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

改正がん対策基本法で考えた「がん治療と仕事」両立のカギ

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 たとえば、早期の胃がんは内視鏡で手術すれば根治できますが、入院期間は長くて1週間程度。乳がん抗がん剤治療を受けると、短期間の入院を繰り返します。放射線は1回の治療時間は短いものの、毎日の通院が必要です。治療が終わっても、数カ月に1回の頻度で経過観察で検査が……。

 短時間勤務や短期休暇の繰り返しで職場に居づらくなって肩身の狭い思いを強いられ、やむを得ず辞職せざるを得なくなるのです。大手企業でさえそうですから、法律改正ですぐに抜本的に改善するのは難しいかもしれませんが、現状でも打つ手がないわけではありません。

 ひとつは、3大治療の選択として放射線を選ぶことです。毎日の通院がネックと指摘しましたが、東京には、早退することなく仕事帰りの夜間に放射線を受けられる医療機関もあります。私がお手伝いしているある病院なら、10時まで診療できるので、治療後に一杯飲んで帰るのも可能で、赤ちょうちんに寄れるくらい副作用も軽いのです。

 放射線のメリットは、受診しやすさだけではなく、大事なのは治療効果です。頭頚部や食道、肺、乳腺、前立腺、子宮頚部など多くのがんで、手術と同等の効果が得られます。欧米では6~7割が放射線で治療されるのはそのためですが、日本はわずか3割。放射線を選ぶ余地は十分あるでしょう。

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