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永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

肺がん手術数 47病院で年間実施件数の22%を手掛ける

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「NDBオープンデータ」はレセプトを基にした統計です。これとは別に、厚労省が毎年公表している「DPC公開データ」があります。こちらには各病院の前年度の手術件数が載っています。

 両者の手術件数を比較すると、肺がんの新たな一面が見えてきます。NDBによれば、全肺がん手術件数(2014年度)は4万6478件。対するDPC(同年度)では5万8315件となっており、約1万2000件の差があります。

 実はこれは統計の取り方によるものです。NDBは「原発性」の肺がんに対する手術件数。DPCの数字には他臓器からの肺転移に対する手術も含まれているのです。

大腸がん」「肝臓がん」「乳がん」などは肺に転移しやすいことが知られています。他臓器がんの初診時に肺転移が見つかれば、ステージ4と診断され、通常は手術を行いません。

 しかし、初診時には肺転移が見つからず、手術後しばらくしてから出てくるケースも少なくありません。その場合、可能であれば手術を行います。

 ほかにも肺がんで損傷を受けた気管支の修復手術や、肺出血・肺血腫の手術も含まれています。肺がんが血管を破壊すると出血が生じます。肺は袋状ですから、出血の大半は肺の中にとどまって、肺血腫と呼ばれる塊を形成します。肺がんの末期症状のひとつで、放っておくと呼吸困難に陥るため、手術(主に胸腔鏡)で取り除くのです。

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