注目集まる「亜鉛」がこれからの肝硬変治療を変えるのか

公開日: 更新日:

 さらに、高齢そのものが亜鉛欠乏を招き、やはり肝機能を低下させる。肝硬変に高齢が重なると、肝機能低下の度合いは加速度的に増すと容易に考えられる。

 つまり、肝機能低下と亜鉛欠乏は密接な関係にあり、肝機能低下を抑制するには、亜鉛が不可欠なのだ。ところが、亜鉛の必要性は認識されているものの、その根拠を示す研究のエビデンスレベルが低く、これまで亜鉛を用いた治療は推奨されてこなかった。

「そこで、エビデンスレベルの高い根拠を作成するために、臨床試験を行ったのです」

 高アンモニア血症、低亜鉛血症がある肝硬変患者18人を対象に、「亜鉛投与群」と「プラセボ(偽薬)投与群」に分け、3カ月間調べた。すると、亜鉛投与群では亜鉛の血中濃度は上がり、アンモニアの値は30%低下した。

 また、年単位で「長期投与群」と「そうでない人」を比較すると、血中亜鉛濃度80μg/dl以上を維持した例では、肝臓がんの発症が有意に少なく、亜鉛濃度が低ければがんの再発が多かった。さらに肝臓の線維化に対しても、動物実験だが亜鉛投与によって抑制された。

「これらの結果から、低亜鉛血症のある肝硬変は亜鉛補充療法を考慮すべきだと考えられます」

 主治医に相談を。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い