著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

肝臓がん手術なら若者は「切除」 高齢者は「ラジオ波焼灼」

公開日: 更新日:

 40代から70代までの手術件数の合計が、新規患者数とほぼ同じか、上回っています。件数には転移がんや再発がんの分も含まれているため、このような逆転が見られるのです。

 また、年齢が上がるにつれて切除術の割合が減り、ラジオ波等が増えていきます。60代ではほぼ半々、70代ではラジオ波等が逆転しています。

 切除術かラジオ波かは一長一短。有効性に注目すると、5年生存率で切除術のほうが有利になっています。

 日本肝癌研究会の追跡調査によれば、腫瘍数3個以下・腫瘍径3センチ以内の肝がんで、切除術の5年生存率が71.1%だったのに対し、ラジオ波は61.1%でした。

 つまり切除術のほうが10ポイントも有利ということです。まだ前途のある若い患者に切除術が多く行われるのは、当然のことでしょう。

 しかし高齢の患者や他の病気を持っている患者にとっては、切除術はかなり大きな負担になります。手術で逆に寿命を縮めてしまうことさえあり得ます。その点、ラジオ波は体への負担が軽く、しかも再発しても何度もできるので、安心して行うことができるのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋