溶かした便を直接移植して腸内細菌叢のバランスを改善

公開日: 更新日:

■潰瘍性大腸炎の約7割に症状改善が

 人の腸管には約1000種、数にして100兆個以上の腸内細菌が生息し、腸内細菌叢を構成している。潰瘍性大腸炎などの腸疾患は、その腸内細菌のバランスが乱れていることが分かっている。そこに生きた腸内細菌の塊である便を直接移植することで、腸内細菌のバランスの乱れを抑制する可能性がある。

 同院ではFMTの前に抗菌薬療法(AFM療法)を行う併用療法を「A―FMT」と名付けた。

「A―FMTを考案したのは、単純にFMTをするだけでは満員のスタジアムに無理やり観客を押し込むような作業で、腸内細菌の効率的な定着は望めないと考えたからです。AFM療法で腸内細菌叢を減らして、乱れた環境を一度リセットすることで移植する腸内細菌の効率的な定着を狙ったのです」

 潰瘍性大腸炎の治療効果については、あくまで短期間の症状スコアでの評価でしかないが、約7割に症状の改善が認められたという。

 しかし、病気の性質上、長期間の検討が必要であり、現在腸内細菌、臨床データの高度な分析を進めている。これまでの研究成果では、腸内細菌叢の種類である「バクテロイデス門」の劇的な変化がFMTの治療効果に強く関与することが示されたという。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党・梅村みずほ議員の“怖すぎる”言論弾圧…「西麻布の母」名乗るX匿名アカに訴訟チラつかせ口封じ

  2. 2

    二階堂ふみと電撃婚したカズレーザーの超個性派言行録…「頑張らない」をモットーに年間200冊を読破

  3. 3

    選挙3連敗でも「#辞めるな」拡大…石破政権に自民党9月人事&内閣改造で政権延命のウルトラC

  4. 4

    11歳差、バイセクシュアルを公言…二階堂ふみがカズレーザーにベタ惚れした理由

  5. 5

    最速158キロ健大高崎・石垣元気を独占直撃!「最も関心があるプロ球団はどこですか?」

  1. 6

    日本ハム中田翔「暴力事件」一部始終とその深層 後輩投手の顔面にこうして拳を振り上げた

  2. 7

    「デビルマン」(全4巻)永井豪作

  3. 8

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  4. 9

    広陵・中井監督が語っていた「部員は全員家族」…今となっては“ブーメラン”な指導方針と哲学の数々

  5. 10

    キンプリ永瀬廉が大阪学芸高から日出高校に転校することになった家庭事情 大学は明治学院に進学